北國新聞
2005年12月31日掲載記事
[ ガチンコ討論塾 ] 子育てほど大変なものはない
ゲスト 月竜香さん(ラジオ番組で人生相談)
▼一年を締めくくる大みそかに合わせ、北陸放送のラジオ番組で長年、人生相談を務めている月竜香さんと丹羽俊夫さんが対談「ガチンコ討論塾」を行いました。相談者のさまざまな悩みにズバリ答える竜香さんも、自分の人生で最も大変だったのは子育てのようです。体験をもとに熱い「子育て論」が交わされました。
丹羽:少しでも世の中のお役に立てればと教育相談をやってますが、この一年を振り返ると、日本は一体どうなった、と思うことばかりでなかったですか。
竜香:今、何が壊れているかといえば家庭ですよ。夫婦が壊れているから子育ても壊れている。まず、男の人が旦那らしくない。一つの舟に家族を乗せて漕ぐ力がないのね。舟が小さすぎて、すぐ転覆する。だから離婚も多い。
丹羽:男がだめなんかね。
竜香:男と女の心があまりにも離れている。男は結婚したら、もう俺の女だからと好き勝手する。女は違いますよ。この人とうまくいくか、だめなら別れようか、そんなことが常に頭の中にある。私が受ける相談には結婚したなりで、旦那とうまくいくか見てほしいというものも多い。
丹羽:そういうことは結婚する前に考えんがかね。
竜香:考えない。好きかどうかで結婚するから。そして、あの時あんなひどいことをいったとか、病気しても優しくなかったとか、女は旦那の許せないことをどんどんためていく。男はアホだから、その蓄積をまったく知らない。
丹羽:ためてためて、定年になった離婚ですか。
竜香:そう。男の人は今、会社大変でしょ。うつ状態になるくらい追い込まれるとか、クビになるかもしれんとか、仕事でヘトヘト。家に帰ったら寝るだけ。夫婦のまともな会話なんてない。でも女はね、旦那の愛情を感じるかどうかで頑張れもすれば、落ち込みもするんですよ。男がほんの少しでも女の心を分かってあげたら全然違う。
▼女は明るく
丹羽:女の方も結構足りないところがあるのでないですか。子どもを産めば母親としての責任がある。
竜香:私はいつもいうんです。女は常に明るく、そしてプラス志向でなければって。ラジオ相談でも子どもが暴れるとか、うつ状態になったとか本当に多い。その時、必ずいうのは、夫婦が子どもの前でふわぁとしたムードをつくることができれば、それ以上絶対悪くなりませんって。
丹羽:竜香さんは子育てで悩んだことなんかない?
竜香:私の人生でも一番大変だったのは子育てですよ。今、息子は就職し娘は来春、大学卒業ですが、本当に子育ての難しさを経験しました。特に息子は学校をさぼったり、春休みに髪を真っ青に染めてイヤリング三つもして…。
丹羽:そんな時、どんな対応をされたんですか。
竜香:とにかく聞き上手になることに徹しましたね。学校休んだ時も起こるんじゃなくて、目線を同じにして話を聞くことから始めました。
丹羽:聞く工夫もいる。
竜香:私は、よくコーヒーを飲みに誘うんです。息子は髪染めてカチャカチャ(の身なり)ですよ。そして、こんな僕と歩くと恥ずかしくないって聞くんです。全然と答えて堂々と一緒にいましたね。普通はもっと注意するんでしょうけど、私は一切いわない。娘も髪をくり色に染めてちょっと化粧して学校に行ってましたが、この子は勉強はできたので学校の先生も注意しない。だから、こっちもとやかく言いませんでしたね。
丹羽:放任ばかりではなかったでしょ。竜香さんなりの教育があったはず。
▼10年や20年では分からぬ
竜香:私は子どもに、自分は何ができるかというテーマを与えて育てましたね。息子は高校出たら中国に一人で渡って中国語を覚えました。それから大学に行きたいと言い出して、自分で台湾の大学を探して卒業。娘は今、看護師の勉強をしています。でもね、先生、私は子育てに成功したなんて思っていません。女は子どもと一生、目に見えないへその緒で結ばれているものなんですよ。
丹羽:子育ては十歳でどうとか、二十歳、三十歳でこうだとかで決まるものではない。いい大学、いい会社に入ったから成功したともいえない。最後までわからんものです。
▼生きていく強さ
竜香:私は、学ぶというのは勉強だけでなくて、生きていく強さを身につけることだと思っています。勤めたら自分を会社に合わせるように学んで努力せんといかんね。今は、自分の思うようにならんとすぐ辞めるでしょ。思うようにならんのは当たり前。逆風でもへこたれないガッツがない。楽な方へ易き方へばかり流れる。だから命もなんもかも軽くなってしまっている。
丹羽:自分の損得だけを先に考え、謙譲の精神なくて会社勤めや男女の仲もうまくいくはずがない。
竜香:こうして話していると、なんか普通の先生と違いますよね。頭の更紗もいいムードだし…なんか占い師みたい。
丹羽:なーん。何回も死んできたしやろ。(笑い)
竜香:今おいくつですか。生年月日は。(笑い)
丹羽:えーっと、二百十六歳やったかな。
竜香:そうね、そのくらい生きるたくましさが今、必要なんですよね。(笑い)
にわ・としお 金城大短大部日本画教授
対談を終えて:竜香さんも子育ては大変だった。また、女性の考え方を聞かせてもらった。人生は男と女、親と子、そして社会との関わりの中、波風、嵐を受けてもへこたれず生き抜くということか。